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その年読んだ本のベストテンです。

翌の読書手帖 http://asunaro-books.blogspot.jp/

その年に読んだ本ベストテン

2016年に読んだ本ベストテン

1,なんでもない一日
シャーリイ・ジャクスン

なんでもない一日 (シャーリイ・ジャクスン短編集) (創元推理文庫)
シャーリイ・ジャクスン
東京創元社
売り上げランキング: 139,160

..。.:*・゜(n´∀`)η゚・*:.。. 物語を、フィクションを読む喜びをあらためてしみじみ感じさせてくれたこの本を1位にしたい。

日記より】
かなり質の良い、珠玉の作品集だった。読みながら「ああ~やっぱりシャーリイ・ジャクスン好きだなあ~良いなあ~」と何度もしみじみ噛みしめ、堪能。どこか少女のような気高さと残酷さがあって、ひとの悪意みたいなのの細やかなところをすぅっと書いてあって、でもあんまり描写は踏み込まずドロドロさせない。展開だけを示して結果は読み手の想像にまかせてある。恐怖へ続く余韻、といったところか。



2,昭和の犬+近所の犬
姫野カオルコ

昭和の犬 (幻冬舎文庫)
昭和の犬 (幻冬舎文庫)
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姫野 カオルコ
幻冬舎 (2015-12-04)
売り上げランキング: 43,686

近所の犬
近所の犬
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姫野 カオルコ
幻冬舎
売り上げランキング: 214,646

(* ̄(エ) ̄)/ 1つは自伝的要素の強い小説」であり、もう1つは「私小説」。両方おさえておきたい。

日記より】
「今日まで、私の人生は恵まれていました」
どこがやねーん! と瞬時にツッコみたくなったが、彼女は本心からそう言ってるんだ、というのもずっと読んできた身にはわかり、いろんな感情が沸き起こる。ああ、「家族のこと」も「そのひとの心のありかた」も表面的なことだけではわからないし、同じことを経験したとしても「ひと」が違えば「捉え方」も違う。人生を肯定できる、感謝することのできる、このひとは素晴らしいひとだ。



3,三の隣は五号室
長嶋有

三の隣は五号室
三の隣は五号室
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長嶋 有
中央公論新社
売り上げランキング: 21,141

(* ̄(エ) ̄)/ こんな小説もあるんだと。長嶋有は次になにをやってくれるのかと。

日記より】
ストーリーが無いので、場面・住人についての描写が変わるごとにぷつんぷつんと切れていく感じでふつうに長篇小説を読むようなどんどん加速度をつけて物語に入り込んでいくふうにはならなかった。集中して読まないと頭の中にきちんと整理整頓されていかない。順々に、わかっていく。だんだん感情移入していく。誰か個人の登場人物にというよりは「五号室の住人」ひいては「生活しているいろんなひとびと」という大きな漠然としたくくりに対して。


4,向田理髪店
奥田英朗

向田理髪店
向田理髪店
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奥田 英朗
光文社
売り上げランキング: 632

日記より】
ちょっと良い風に書き過ぎだ、とか主人公が冷静で公平な性格過ぎて出来すぎだと思わないでもないが、つまり「そういうことなんだな」と。これはフィクションであり、ある種の夢と希望をくれるタイプの小説なんだから。暗い結末を書いて誰が喜ぶんだ。現状がせっぱつまっていることはみんなわかっている。そんな中でもとりあえず前を向いて、みんな助け合って、こんなに「誰かのためを思って」生きている町があるとしたらそれだけで宝だと思う。



5,浮遊霊ブラジル
津村記久子

浮遊霊ブラジル
浮遊霊ブラジル
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津村 記久子
文藝春秋
売り上げランキング: 21,235

日記より】
短篇集で、連作ではなくて、全部独立している。7本どれも変わっていて、それぞれ面白かった。津村さん確実にメキメキ上手くなられてるなあ。凄い。頼もしい。進化しているって感じだ。
特に、最初の話を読みはじめてすぐに主人公が女性でもなく、著者よりずっと年上の世代ということが書かれている箇所を読んだときに「おやっ」と思った。



6,スタッキング可能
松田青子

スタッキング可能 (河出文庫)
松田 青子
河出書房新社
売り上げランキング: 44,836

日記より】
松田さんは1979年生まれで、ウィキペディアによれば契約社員として働かれた経験もおありで、現代の日本の会社で働く女性が周りから受ける干渉とかそういうのを実感としてお持ちなんだな、だからこういう作品が出てくるんだなと非常によく理解できた。一昔前の男女差別とはまた違う、このなんというか気持ち悪い真綿で首を絞めるみたいなのがね…。



7,コンビニ人間
村田沙耶香

コンビニ人間
コンビニ人間
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村田 沙耶香
文藝春秋
売り上げランキング: 7

日記より】
著者はふだん感じているマイノリティーへのちくちくちくちく続く、細かな、だけどずっと続く「糾弾」への「怒り」を込めてこの作品を書かれたような、つまり「怒ってるんだな」ということを感じた。間違っているかも知れないが。わたし自身がそういう社会意識みたいなものに対してずっと反発を感じて、やがて諦念もありつつ、でも「しょーもねーなー、なんとかならんのかねー」と考えているからそういうふうに受け取っただけかも知れないが。



8,図書館のキリギリス
竹内真

図書室のキリギリス (双葉文庫)
竹内 真
双葉社 (2015-09-10)
売り上げランキング: 90,723

日記より】
読み進むうちにこのひとの人柄が伝わってきて(全然キリギリスじゃないじゃないか)、好意に変わった。なにより、いろんな本をたくさん読んでいて、読んだ本(の内容)を大切にしているのが良い。詩織さんにすすめられたら読みたくなるな、って気がする。



9,オスカー・ワオの短く凄まじい人生
ジュノ・ディアス

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)
ジュノ ディアス
新潮社
売り上げランキング: 133,467

日記より】
オスカーの事が読んでいくうちにとても好きになっていたから(人間的に、友情的に)、とても悲しかった。ばかなことを、という思い。でも、そういうひたむきな純粋なまっすぐさを最後まで失わなかったからこそオスカーの事が好きなんだとも思う。
最後の最後でオスカーが得たもの、そのことについて書かれた感想が、とても胸を打った。「素晴らしい!」の連呼で、オスカーの無邪気な喜びが伝わってきて、本当に良かったね、オスカーって思った。



10,冬の物語
イサク・ディネセン

冬の物語
冬の物語
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イサク ディネセン
新潮社
売り上げランキング: 9,411

日記より】
本書は児童向けではないが小説というよりは物語性が高く、長い冬の夜に1篇ずつ暖炉などにあたりつつ愉しむのにうってつけという気がする。『アフリカの日々』でディネセンの話の巧さは感じていたが、まさに珠玉の短篇集。いっぺん読んだだけではもったいないので、また時を置いて繰り返しじっくり味わいたい。物語だから十代の読者にもすすめられるが、このほろ苦さ、厳しさを内包した冬の物語はある程度年を経てこその読み解きの妙があると思われる。



00,小林カツ代と栗原はるみ
ー料理研究家とその時代ー
阿古真理

小林カツ代と栗原はるみ―料理研究家とその時代―(新潮新書)
新潮社 (2015-11-13)
売り上げランキング: 14,192

日記より】
「料理研究家」ってなんだろうというのもあったし、そのへんの明確化されていなかった自分の興味や関心とこの本はなかなかに合っていて、じっくり読みこんだ。料理研究家について年代を追って書かれた本書は同時に近現代の女性の生き方、それをとりまく社会の変遷を追うことでもあった。
男女雇用機会均等法があったって、男女差別は良くないとされていたって、現実の社会で「まったく同じ」になることはまあ無くて、そのへんについてのあれこれもどうしても絡んでくる。骨身に沁みる。


特別賞,吉野朔実は本が大好き
吉野朔実


吉野朔実は本が大好き (吉野朔実劇場 ALL IN ONE)
吉野 朔実
本の雑誌社
売り上げランキング: 104

このシリーズは全部持ってるけど、この本だけの特典もあったし、何より本の雑誌社の心意気に打たれたので何の躊躇もなく購入した。
ありがとう本の雑誌のみなさん。

4月20日から5月2日まで、吉野朔実がもういない世の中を、まったく知らないままふつうに生活していた。
なんとも云えない気持ちになった。
知ったからってなにが出来たわけでもないのだけれど。

吉野朔実の選書センスはとにかくカッコ良くて。ものすごく影響されました。
天国で、いろんな有名な作家さんたちと会ったりして、元気にしてらっしゃるといいなあ。





振り返って・・・


いつもご贔屓いただきまして、ありがとうございます。
2016年に読んだコミックを除いた活字本感想記事は109タイトル、そのうち再読は4タイトルでした。
再読が少なかったなあ。


今年の抱負は「リアル書店に行く回数を増やす」だったんですけど全然増やせませんでした。
通勤の「ついで」に店が無くなってしまったこと、kindleを持ってるから読むものに困らないことが大きな原因でしょう。

わかりました。
具体的にやらないと駄目ですね。
というわけで2017年は「毎週末リアル書店に行く」を実践してみたいと思います。

それではみなさま、どうぞよいお年を。
来年度もひき続きよろしくお願い申し上げます。

2016.12.24 桧あすなろ